新年あけましておめでとうございます!
本年も、どうかよろしくお願いいたします。
さあ2021年、一発目のストライクチャレンジを始めます!
一発目ということで、めちゃめちゃ景気の良い企画です!

早速ですが、みなさんリグナムバイタというものをご存知でしょうか?
かなり強そうな名前してますよね。去年の夏に巡り合いました。
今回はそのリグナムバイタで作る眼鏡にチャレンジしていきます!
リグナムバイタとは「世界で一番重たい木材」といわれている木のこと。
切削には金属加工用の機械を使うそうです!ボウリングのボールやピンにも利用されているんです。
実物はこちら。

普段工房で使っている糸ノコでは全く歯が立たず、それ用のノコギリを用意しました。
それですら、切り出すのが大変で非常に手間のかかる木材でした。また油分を多く含んでいて、見た目からも重さが伝わり、実際の重量も木とは思えないくらい重いです。
金属持ってるのかな?というくらいの重量感を感じます。
この質感が非常に良い雰囲気です。
あとは水に沈むというので実際に沈めてみたら、すとーんと沈みました。
それぐらい重い木材です….!
また非常に希少な木材でワシントン条約で輸出の制限もされているため、なかなか流通していない、珍しいものなんです。
つまり、重くて、良い質感で希少な木材、そんなリグナムバイタの眼鏡にチャレンジしていきます!

今回はシンプルなボストン型に仕上げました。木の強度がどれくらい保たれているのかわからないので、なるべく肉厚にしてあまり角が立たないようなフォルムにしております。
通常の眼鏡素材と違い、完成後の調整ができない素材なので、切削図面の段階でテンプルのカーブを上下左右でつけております。
多くの人にフィットするようなカーブでかつずれないようにするために、何度も調整してこの形に落ち着きました。
通常のアセテート素材だと、基本的には立体的な造形ではなく真っ平らな状態で切削して、後から造形していきます。
しかし、今回はリグナムバイタという船舶にも使われる非常に硬い木を使うので、元からカーブをつけた立体的な造形にしております。智元やブリッジにカーブをつけたり、肉厚を出すことで、フレームが反ってしまう逆反りが起きないように造形しました。鼻パッドはフロントも一体整形になっているので、境目で木目が途切れずに、非常に美しい造形になっています。

職人 岩崎
「リグナムバイタがアセテートよりもずっと硬い素材なので、通常の切削機のドリルが通らず、動かなくなってしまいます。
なのでドリルの回転数や切り込みの深さなど、設定を一から検証しながら進めていきました。制作の流れとしては、まず切削機から上がった状態から、かなやすりで荒く全体の形を整えていきます。そこからは紙やすりで、徐々にヤスリの目の荒さを変えながら、木の風合いが出せるように、手をかけて磨いています。
フレームの溝掘りは、通常であれば専用の機械を使って簡単にできるんですが、まず素材が木ということと、切削した状態ですでにカーブが付いているため、普段使っている機械が使えません。よって手で工具を使わざるを得ませんでした。そういった普段とは違う作業が多いところが大変でした。」

実際にアセテートの眼鏡で行っているバフがけをすると、ものすごくツヤが出るんですね。
ただ木の本来の色・質感を味わいたかったので、あえてバフがけは行わずに仕上げています。またテンプルのカーブであったり、フレーム全体の肉厚のメリハリであったりと良い表現ができたんじゃないかなと思います。
非常に良い雰囲気に仕上がりました。ちょっと気になる重さでしたが、意外とかけ心地も軽やかで、重たさもそこまで感じません。
和装との相性も抜群ですね!

いかがでしたでしょうか。
新年一発目、景気の良い企画ができたんじゃないかなと思います。
コロナやなんやと、今世の中厳しい状況が続いておりますが、今年も実直にストライクチャレンジを積み上げて行って、良い結果、良い成果が出せるように頑張っていきたいと思います。そして今年一年、ご覧の皆様にとって幸多い一年であること、ストライクが実りの多い時間を過ごせること。
そんなことを願っております。
最後に、もしこのストライクチャレンジで「こんな企画をやって欲しい!」というご要望などございましたが、コメントなどをいただけるとありがたいです。