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2020.12.12
職人 横山 惰性のないものづくり
-智元の滑らかさについて- 横山 「智元について、カッティングからの繋がり方を意識しています。上からの流れと前からの流れと、全体の流れが揃ってると気持ちが良いということに気が付きました。」 ー分業制のめがねだと、ズレているものも少なくありません。なので工程のオリジナリティが出て、ストライクらしさに繋がりますね。実際、面がすごく綺麗です。
※フロントからテンプルが滑らかに繋がっています。 「この工程はすごく手間がかかるんです。」 ー智元のこだわりは、最初からだったんですか?それとも製造をする中で定まっていったんですか? 「最初はフロントとテンプルの接地面を合わせることしか考えていませんでした。その中で作っているうちにちょっと待てよと。繋ぎ方でだいぶ変わるなと思うようになってきたんです。そこからは、デザインに合わせてその眼鏡が一番きれいに見える繋ぎ方を意識するようになりました。」 ーなるほど。基本は全面きれいに繋いで、デザインによってはあえて繋がなかったりするんですね。全面を揃える時に製造の中で注力している部分はどこですか? 「バフの時にバリが立ってそれを巻き込んじゃうと、生地の中に埋まっちゃうんです。そうすると傷が入ったり、シワになったように見えてしまうので、磨きの工程は特に意識しています。」 ー建築や家具でも仕末が良いものって、気持ちいいですよね。違和感をなくすのって実は凄く難しい。当たり前にピタッと揃っているけどそれって機械で簡単にできるものではないじゃないですか。職人の腕がないと実は作れない。ものづくりにおいて普通に見えるって実はすごい事だと思います。
「常々思っているのが惰性での作業が入ると、絶対違和感になるということです。一つひとつ先の先まで考えられて、意識が行き届いているのがわかるものを作りたくて。」 ー今までの話を聞くと、ストライク の眼鏡を見た時に横山さんの顔が浮かんできます。 「眼鏡製造の大半関われるのがストライク の良さですね。さすがに全部は難しいですが笑」 ーデザイナーがフロントとテンプルをデザインする。そのデータを実際のものとして作り上げる。それが職人の腕の見せ所かなと思います。 「デザインが上がってきた時にテンプルとの相性を考えて仕上げています。ただ、すべての面を揃えるだけではありません。例えば智幅が広くて、直線で構成されているデザインはあえて全面を繋ぎきらない時があります。全面的に繋げてしまうと前から見た時に、斜めに見えてしまうんです。そのめがねの本質からずれてしまう。独りよがりの解釈でしないことも意識していて、デザイナーの意図をふまえた上でやってます。」
※デザインによっては、あえて滑らかにつながないことも。 ・・・・ 「自分でシルバーのヘアゴムを製作したときに、某有名シルバーブランドのヘアゴムと比べてみました。 その際に、その完成度の高さに感動しました。使い心地が全く違ったんです。その理由がどうしても知りたかったので、近づけるために4時間くらい夜な夜な自分のシルバーのヘアゴムを削りました笑 その時に気がついたんですが、裏のゴムを固定する構造や、微妙な角度でゴムへの負担の無さ、全体的なフォルムのまとまりなどあらゆる場所が考え尽くされていて、原型師(オリジナルの型を作る職人)とデザイナー の超一流のものづくりに深く触れた瞬間でした。」 ー一流のものと普通のものって比べてみると凄いわかりますよね。 「ストライク の眼鏡もそれに近づけていきたいと思います。」 ー学びが得られるプロダクトっていいですよね。自分が作るものにこだわっていって、その要素が増えるほど、学びも増えると思います。 「例えば、フレンチヴィンテージだとズレてるのもそれはそれで格好良いんですよ。7,80年経った独特な味があります。」 ーヴィンテージならではの許せる味、愛嬌ですね。
ー昔のストライク のデザインを見ていて、何かしようというのが伝わってきてすごく良かったです。 「まさにそうです。惰性じゃなくて、その時に本気でやってるやつが味に変わってくれるというか。クオリティが落ちているとかじゃない魅力があります。」 ーその時のMAXは出してますもんね。 「それはその時の作品として評価されるべきなんじゃないでしょうか。それが惰性で作られたものならば粗悪なものになってしまいます。」 ーストライクが作る眼鏡の魅力の1つです。 「一ヶ月前に作ったものとか見ると、角が立っているのが正義と思って作っていたなとかその時の想いが透けて見えてきます。それはそれで一生懸命作っているものです。新たな視点って職人とか販売職もそうですが、絶対ブラッシュアップされてレベルが上がっていくからこそ得られるものだと思います。」 ーレベルが上がっているからこそ、より洗練された改善点に気が付くことができる。 「ストライク初期の眼鏡を今作れって言われてもおそらくできません。技術的に作れても、当時の色々と試しながら荒削りだけれども完成した味のあるものは再現できないと思います。それは、ゴールがなくてもっともっと上を目指さないとという想いが根底にあります。その想いを持ち続け、これからも自分の納得できる眼鏡を作っていくつもりです。智元のディテールはほんの些細なことです。しかし、その小さなディテールの積み重ねが良いものづくりにつながると信じています。」 職人 横山の紹介ブログはこちら! instagram : @meganeya_strike_yokoyama